企業の採用において、従来通りの求人広告や会社説明会だけでは優秀な人材を採用できなくなっています。
求人数よりも人材が少ない「売り手市場」になっているからです。
また、仮に採用できたとしても採用ミスマッチによって早期離職してしまう課題を抱えている企業も増えています。
そこで大切になるのが、採用マーケティングという考え方です。
本記事では、採用マーケティングを成功させるために必要な内容について総合的に解説していきます。
採用マーケティングとは?
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングのフレームワークを取り入れた手法です。
売り手市場が続いている現代の採用市場において、今まで通りの採用手法では求める人材を採用することが難しい企業も増えてきているため、企業認知から定着するまでの採用の一連の流れをプロセスに分け、それぞれのプロセスごとに課題解決することで採用フローを最適化していきます。

採用マーケティングにおいてペルソナは最重要ポイント
採用マーケティングにおいて、採用したい人物像を社内で明確化するためのペルソナは非常に重要なポイントです。
ペルソナが明確に決まっていないと、社内で採用活動にズレが生じてしまったり、求職者に適切なアプローチができないといった問題が生じる可能性が高まります。
1.そもそもペルソナとは?
採用マーケティングにおけるペルソナとは、採用ミスマッチを防ぐためや求職者への訴求力を高めるために設計される具体的な求職者の人物像です。
大まかに採用したい人物を決めて採用活動をしてしまうと、入社後の早期離職が多いことや母集団形成が上手くいかないという課題を抱えやすいですが、ペルソナという架空の人物を設計することで課題を解決することができます。
2.ペルソナ設計のメリット
ペルソナ設計の大きなメリットは、社内での採用活動にズレが生じにくくなることと採用ミスマッチを防げることです。
自社に必要な人物像をより詳細に決めることで、一貫した採用活動を行えるため、採用ミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。
3.ペルソナ設計の注意点
ペルソナ設計の注意点は、より広い視点で設計することです。
ペルソナを経営陣だけで設計したり、自社の理想だけで設計してしまうと、実際の採用市場には存在しない人物になってしまったり、現場が求めていない人材を採用してしまう可能性があります。
そのため、採用市場の動向や理想的な社員をもとにして設計することが求められるのです。
採用マーケティングにおけるペルソナについては、以下の記事で詳しく解説していますので、詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
採用マーケティングにおけるペルソナとは?設計するメリット・注意点、設計方法を解説

採用マーケティングで活用されるフレームワーク
採用マーケティングでは、課題を解決するための枠組みとしてフレームワークが用いられることが多いです。
フレームワークを活用することで、社内で一貫した採用活動を行うことができます。
1.フレームワークを活用するメリット
採用マーケティングでフレームワークを活用するメリットとしては以下のような内容が挙げられます。
- ターゲット人材からの募集が増加する
- 採用ミスマッチを防ぐことができる
- 一貫した採用活動を行える
- 課題を明確化することができる
フレームワークは成功実績のある枠組みを利用しているため、枠にはめて採用活動を行うだけでもある程度の効果が期待できます。
また、フレームワーク通りに採用活動を進めることで、一貫した採用活動を行うことが可能です。
2.フレームワークを活用するときの注意点
採用マーケティングでフレームワークを活用するときの注意点は、適切なフレームワークを選ぶということです。
フレームワークは万能ではないため、自社の採用活動の課題に応じて適切なものを選ばないと成果をあげられないこともあります。
そのため、自社の課題を明確にしたうえで、効果的なフレームワークを選ぶ必要があるのです。
3.具体的なフレームワーク
採用マーケティングでも活用されるフレームワークには以下のようなものがあります。
- ペルソナ分析
- 3C分析
- 4C分析
- SWOT分析
- ファネル分析
このように、フレームワークにはさまざまな種類が存在しており、それぞれの効果が異なります。
例えば、3C分析は競合分析にも効果的なフレームワークですので、求職者が競合に取られてしまうといった場合に有効なフレームワークです。
採用マーケティングのフレームワークについては、以下の記事で詳しく解説していますので、もっと知りたい方はチェックしてみてください。
採用マーケティングのフレームワークとは?メリット・デメリット・具体例を紹介
採用マーケティングにおけるファネルの考え方
採用マーケティングにおいて、ファネルという考え方は重要です。
ファネルはもともとマーケティングで使用されることの多い言葉で、顧客の購買行動をプロセスごとに分けて考えることで利益を拡大するものですが、採用ファネルは採用を成功させるために求職者の行動をプロセスごとに分けて考えるものとなります。
求職者の行動を大きく分けると、認知・興味・応募・選考・内定・継続・紹介となり、行動をプロセスに分けて考えることで、それぞれのプロセスでの課題を洗い出すことができます。
1.採用ファネルの種類
一般的に多く用いられる採用ファネルは、認知・興味・応募・選考・内定という内定者が入社するまでのプロセスを5つに分けた「パーチェスファネル」です。
しかし、ファネルには入社後の行動を継続・紹介・発信に分けた「インフルエンスファネル」と、これらを組み合わせた「ダブルファネル」というものもあります。
入社後の求職者の行動は採用活動とは関係ないように思うかもしれませんが、友人を紹介するリファラル採用や、SNSや口コミで社員が発信することなどが求人応募の増加につながることも多いため、ダブルファネルを活用することがおすすめです。
2.採用ファネルを用いた具体的な施策の例
プロセスごとに課題は異なりますので、それぞれのプロセスでは以下の表のような施策を打ち出すことができます。
| プロセス | 具体的な施策 |
| 認知 | 会社説明会を実施する 合同会社説明会に参加する 採用イベントに参加する 求人サイトを利用する Web広告を打ち出す SNSで会社情報を発信する 自社メディアのSEO対策に力をいれる |
| 興味・関心 | 採用イベント・セミナーで求職者と直接コミュニケーションを取る 写真や動画をSNSやHPに掲載する先輩社員のインタビューをホームページに掲載する |
| 応募 | 求職者の求める情報を分かりやすくまとめる 競合他社にはない強み・魅力を発信する 応募までのプロセスを簡単にする 求人サイトからスカウトメールを送る |
| 選考・内定 | 適性診断を実施する 職場見学の時間を設ける スムーズにスケジュールを設定する 内定者懇親会を開催する 面接のリマインドメールを設定する |
| 入社・継続 | 教育体制を整えて自信を持って実務できるようにする フォローアップ面談を実施して人材の悩みを定期的に聞く 社内イベントなどの交流会を開催する 社員の意見を匿名で調べる目安箱を設置する |
| 紹介・発信 | 福利厚生を充実させる 社内のコミュニケーションを活発化させる リファラル採用できたらお祝い金を贈呈する |
このように、プロセスごとに施策は異なりますので、どのプロセスに課題を抱えているのかを明確にすることが大切です。
採用ファネルについては以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
採用マーケティングにおける「採用ファネル」とは?種類やプロセス、具体例を解説
採用マーケティングの代表的な施策
採用マーケティングの代表的な施策を以下の表にまとめました。
| 施策 | 概要 |
| 採用サイト | 自社ホームページや採用サイトなどで自社の強みや魅力を求職者に届ける。採用ミスマッチを減らすことができるが、認知が低いと見てくれる求職者が少ない。 |
| オウンドメディア | 定期的にコンテンツを発信することで、自社の強みや魅力、社員の雰囲気など、さまざまな情報を発信できる。定期的にコンテンツを投稿しないと効果が得られない。 |
| SNS運用 | X(旧Twitter)やTikTok、InstagramなどのSNSを運用して自社の認知を高められる。拡散力が高い一方でSNS運用の知識が必要となる。 |
| 採用動画 | YouTubeなどに動画を公開する。クオリティの高い動画や共感性の高い動画を作る必要がある。 |
| リファラル採用 | 社員の紹介で採用を行う。社員が紹介したいと思うような会社づくりや報酬を設定する必要がある。 |
| 採用LP | 1枚のWebページで応募までの誘導を完結するLP(ランディングページ)を作成する。低コストで作成できる一方でWeb広告などの認知拡大の手法を活用する必要がある。 |
| ダイレクトリクルーティング | スカウトやヘッドハンティングなどにより、企業側から求職者に直接アプローチする。通常の採用活動よりも時間がかかることが多い。 |
| 採用イベント | 採用イベントを開催し、求職者と直接コミュニケーションをとる。企業の理念や強みを伝えやすいが、コストや手間がかかる。 |
| 採用媒体(求人広告) | 採用媒体に求人募集を掲載する。競合が多いため比較される。 |
採用マーケティングの施策については以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方はチェックしてみてください。

採用マーケティングの企業のおける成功事例
各企業は優秀な人材を採用するために採用マーケティングを取り入れており、数十倍のエントリー数を獲得する企業も珍しくありません。
たとえば、「LINE株式会社(LINEヤフー株式会社)」では、リファラル採用の手当として30万円の報酬を設定したうえで、毎週の定例会で募集しているポジションを発信するようにすると、人材紹介サービスからのエントリーの10倍以上のエントリーを獲得しています。
また、ブラックなイメージの強い不動産業界の「株式会社グローバル・リンク・マネジメント」では、ターゲットを「経営に興味のある人」や「成長意欲の高い人」に絞ったことで内定者の増加に成功しています。
このように、自社の抱える課題に対して適切な施策を打ち出すことで、大きな成果をあげることも珍しくないのです。
採用マーケティングの成功事例については以下の記事に詳しくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
採用マーケティングを支援・代行してくれるサービス
採用マーケティングのノウハウがない企業は、採用支援サービスを利用することがおすすめです。
以下では採用支援サービスについて詳しく解説します。
1.採用支援サービスを利用するメリット
採用支援サービスを利用するメリットとして、リソースを削減できることや、採用ミスマッチを減らせることです。
採用活動は時間と手間のかかるものですが、採用支援サービスに一部でも業務を代行してもらうだけでもリソースを削減することができます。
また、適切な採用活動ができるようにサポートしてもらうことで、採用ミスマッチを減らすことも期待できます。
2.採用支援サービスを利用するときの注意点
採用支援サービスを利用するときに注意したいことは、自社にノウハウが蓄積されない可能性があることです。
コンサルのように社員を教育してもらったり、ノウハウを教えてもらうようなサービスであれば自社にもノウハウが蓄積されますが、代行サービスの場合は自社にノウハウ蓄積されない場合があります。
中長期的に採用活動を行う場合、自社にノウハウが蓄積されたほうがいいでしょう。
3.採用支援サービスの選び方
採用支援サービスを選ぶときは、自社の課題にマッチしたサービスを選ぶことが大切です。
採用支援サービスによって得意としている業務は異なるため、課題によってサービスを選び分けましょう。
以下の記事では採用支援サービスについて、より詳しい解説やおすすめのサービスを紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
企業の採用マーケティングのサポートを行うコンサル会社5選
採用支援サービスとは?利用するメリット・デメリット、具体的なサービスを紹介
まとめ|採用マーケティングを活用して採用を成功させましょう
本記事では、採用マーケティングを成功させるために必要な内容について総合的に解説しました。
採用マーケティングは現代の採用活動においては欠かせない考え方です。
とはいえ、マーケティングの知識がない企業の場合は1から学ばなければいけない場合もありますので、その場合は採用支援サービスのコンサルを受けてみることもおすすめです。
まずは自社で採用マーケティングを行うという場合は、自社の課題を明確にしたうえでペルソナを設計するところから始めてみましょう。
